2022/01/11
1992年に書かれた小説。「PRIMARY WORLD」の「ぼく」がコンピューター内(「DUAL WORLD」)に「ぼく」の世界を作るという話。世界そのものを再現するのではなく、人間の認識と世界のあり方を記憶=メモリの問題とみなす。記憶のインプットによって世界の認識を仮構することで、世界が作られる。その入れ子構造は「PRIMARY WORLD」もまた外的な記憶のインプットの産物ではないかという推測を生み出していく。
記憶について言及する際にはそれを語る人の記憶もまた言及の対象となるという事態は、記憶論でも同様のはずである。